ふと思い出す。
かつて私が本気で応援していた人は、こういう言葉を残して去っていきました。
「何年後かの、なりたい自分のために、いったんこの仕事を離れる」と。
「いったん」という部分が注目されがちなこの言葉。私は違う部分に惹かれました。


”この仕事を離れる”


あの人は自分のやってきたことを「仕事」と表現しました。
他の言葉を使ったこともありましたが、私の聞き間違いでなければ確かにこう表現したことがあったはずです。


あの人のやってきたことは自分から望んで飛び込んだこと、自分がやりたいと思ってやってきた事、自分のためにやってきた事のはずです。
それでもあの人は「仕事」という表現を使いました。


これはあの人が、自分のやってきた事が自分一人で成したことではなく周りの多くの人間との関わりの結果として成されたものだと、確かに考えていた証だと思っています。
そして私より一回りも年下であるあの人が、自分のやってきた事全てを表現しようという時に自らの言葉でサラリと「仕事」と表現したことに感銘を受けました。心地よい敗北感を味わった覚えがあります。


そんなあの人だから、新たな道に進むためにその「仕事」から離れ、目の前から姿を消すことになってもその旅立ちを祝いました。
そして、もしかしたら・・・という、その日を待ちわびてもいます。