光り物(その3)

以前書いたチアライトのLED交換についてコメントをいただきましたので、一番単純な方法を解説したいと思います。
とはいえ、私自身それほど器用ではありませんので一部乱暴な方法も含まれておりますことはご勘弁を。


ちなみに私が改造したのはやまと興業製のチアライトです。


<手順1>基板を取り出す
レンズ部に入っている電池端子の基板にLEDが実装されていますのでこれを取り外します。

手っ取り早いのはレンズを切って上から叩く方法です。あとで再接合した時の見栄えも考えてレンズの段差部分で切るのが良いと思います。レンズの厚さは1mmくらいなのでカッターで根気よく切っていけばOKです。レンズが切れたらドライバーか何かで軽く突けば基板が取れます。接着力はそんなに強くありません。

そんなに強く接着されてはいませんので、ピンセットか何かで引っかけて引っ張り出せばOKです。【一部修正】


取り出される基板はこんな物です。



<手順2>LEDを交換する
自分が付けたいLEDに交換します。半田付するのが一番ですが、元のLEDの足を残しておいてそこに縛り付けるだけでも良いでしょう。LEDの極性には注意してください。電池の+側がアノード、−側がカソードになるようにします。


買ったままのLEDなら足が長い方がアノードです。もし間違っても光らないだけなのでその時はひっくりかえせば良いだけです。極性を確かめようとして電池を直接LEDにつないだりすると過電流で焼損することもありますのでやめておきましょう。



さて、これだけで済めば簡単極まりないのですが、選んだLEDによってはもうひと手間必要になります。



<手順3>電流制限抵抗を交換する
基板を見ると抵抗器が付いているのがわかります。こいつがLEDに流れる電流を決めています。
厳密に説明するとキリがないのでごく簡単に書くと、LEDには「順方向降下電圧:Vf」というのがあってこれを下回る電圧ではほとんど電流が流れません。そしてLEDの明るさは「順方向電流:If」に依存します。

使おうとしているLEDの特性を把握しておきましょう。「If=**mA の条件で Vf=**V 」というように規定されているはずです。この時のIfの値が公称光度の条件にもなっていることがほとんどだと思います。ついでに「If の絶対最大定格値」も把握しておきましょう。
一般的に売られているLEDのVfは1.8Vとか3.6Vです。流行りの青とか白は3.6Vですね。Ifの条件は品によって様々です。


ここで気付くと思いますが、Vf=3.6Vの物は単4電池2本の3.0Vでは電圧が足りずに光りません。なのでチアライトは単5電池3本の4.5Vが基本です。私はこれを嫌ってチャージポンプICで昇圧するという手を使っていますが、今回は単純な方法ということなので単5電池3本で直接光らす場合のみ考えます。
(ちなみに、単4電池で光らす方法はこちら。http://d.hatena.ne.jp/Line/20090512#p1


まず、今付いている抵抗器の値を調べます。カラーコードが読めない方はネットで調べてください。「黒い礼服 茶を一杯 ・・・」ってやつです。”抵抗 カラーコード”で検索すればいくらでも出て来ます。上の写真の抵抗器は「赤赤黒金」で22Ωです。


私の調べた限りでは
「黄色チアライト」は Vf=1.8VのLED で 抵抗が51Ω
「緑色チアライト」は Vf=3.6VのLED で 抵抗が22Ω
でした。


交換したLEDをこのままの抵抗値で使えるかどうか判断します。電池の初期電圧時の順方向電流Ifを計算します。If=(Vb−Vf)/R で計算できます。Vbは電池電圧です。これで求まるIfの値が付けたLEDの絶対最大定格未満ならOKです。
例えば、「黄色チアライト」のLEDをNSPY-500S(レモン色LED、Vf=3.6V)に交換した場合、If=(4.5-3.6)/51=0.018=18mA となります。このLEDの最大定格はIf=30mAなので問題無しです。
ところが「緑色チアライト」を同じくNSPY-500Sに交換すると、If=(4.5-3.6)/22=0.041=41mA となってしまい、これはアウトです。抵抗器の交換が必要になります。


交換が必要となった場合にどれくらいの抵抗器を付ければ良いかというと、計算式はさっきの式をRで解けば良くて R=(Vb−Vf)/If 。Ifの値は最大定格の8割以下で考えておけば良いでしょう。


ここまで終わったら実際に点灯させてみましょう。所望の光度が得られればOKです。もし暗かったりしたら、先程のIfの最大定格を超えない程度に抵抗値を小さくします。
アルカリとかマンガン乾電池の電圧は使い始めると1.3V〜1.2Vくらいまで落ちてきてしまいますので、あまり抵抗値が大きいとすぐに暗くなってしまいます。


<手順4>組み立て
あとは基板を元に戻して切断したレンズを接着したら完成です。もしも振り回すような使い方をされるのであればしっかりと接着しましょう。
あとは作った基板をレンズに戻せば完成です。【一部修正】


<注意事項>
今回の記事を参考に工作されたとしても、それで生じたトラブルには責任は負えませんのでご了承ください。
単4電池2本で駆動する方法(チャージポンプIC)とか2色切り替えの方法(磁気センサ)の詳細はリクエストがあれば解説します。